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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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阿蘇くじゅう国立公園

66件の記事があります。

2016年01月28日いきものリレー⑧『コミミズク』【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

寒波の到来で、あまり雪が降らない九州の平地にも雪が降りました。沖縄本島では観測史上初の降雪だとか!・・時を同じくして八重山の島めぐりをしていた私なのですが、出会ったおばぁが「寒すぎて生きていけないよ」と嘆いていました(o;) 初雪を降らす程の寒波だったので、おばぁももちろん初めての寒さだったのでしょう。

もちろん阿蘇山も雪景色ですよー!

 

さて、今回のいきものリレーでは、冬の阿蘇の草原にやってくる猛禽 コミミズクを紹介します。

この寒さをむしろ「暖かい!」と感じて、遠く北の大陸から越冬のために飛来してくるフクロウの仲間で、漢字で書くと『小耳木菟』と書くようです。漢字から想像してみると、小さい耳があるような・・「菟」はウサギを表す字で、木に棲んでいる?・・なんとなく姿が想像できるような、できないような(「木菟」と書いて羽角(耳のように見える部分)を持つミミズクを表すようです)。

実際の姿はコレです↓↓

 撮影:井上欣勇様

あまり目立ちませんが、頭のてっぺんくらいに左右に羽角があるのです。

顔には白い縁取りがあり、顔面がハッキリと見えすぎていてちょっとユニーク♪

 

 撮影:有馬宏幸様

羽を広げると1mにもなり、飛んでいる姿は「丸太をぶった切ったような」とよく表現されます!うん、確かにそう見えるっ!

阿蘇では日が傾く15時頃から飛び始めて、ネズミを狩る様子が見られるようです。

・・・どうしても本物を見たくて、昨年の冬、今冬とチャレンジしていますが・・私はまだ見れていません(+_+)なので写真は、お借りしました。

2月、3月もあるので、まだまだ希望は捨てずにチャレンジしたいと思います!

 

そうそう、阿蘇ではフクロウをモチーフにしたクラフト作りがあるんですよ(^^)しかも、草原のススキやドングリの帽子など阿蘇の素材です。

秋頃に子ども達への草原学習などで、みんなで作ったりします。ふわふわでかわいいでしょ☆

冬の阿蘇だからこそ観察することができるいきものの姿がたくさんあります。特に冬鳥はたくさんいますよ~!暖かい格好で阿蘇へおいで下さい♪

☆観察する時は、近づき過ぎないように。そして、草原の木柵やゲートを越えないようにお願いします。

 

次回のいきものリレーは対馬の山口アクティブレンジャーです♪お楽しみに~☆

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2016年01月28日約50年ぶり!草千里で野焼き復活

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

 先日は九州各地で積雪となり、凍結などで水道管破裂による断水などで、生活に支障が出ているようですが一日も早く復旧されるように願っています。阿蘇では降雪はそれほどなかったのですが、朝方は氷点下10℃は越えたようで、日中の気温も上がらず寒い日が続きました。道路なども普通に見えても凍っていたりするので車の運転等も気をつけてくださいね。

 

 

 阿蘇山の草千里ヶ浜にて、1968年以来約50年ぶりに野焼きが再開されることになり、『草千里草原再生開始式』が平成28年1月23日(土)草原保全活動センター内草原学習館にて執り行われました。

野焼き再開については、熊本県や阿蘇市、牧野組合、(公財)阿蘇グリーンストックなどで作る草千里野焼き実行委員会が主催。式典にて、蒲島知事や実行委員長の阿蘇市の佐藤市長、牧野を代表して黒川牧野の西岡組合長から草原再生に向けて熱い意気込みが語られました。

 

 

開始式の様子

 

 

集合写真

 

 

 阿蘇での野焼き再開としては4例目となりますが、草千里は阿蘇を代表する観光地のひとつで、草原に入って楽しめる貴重な場所(※)でもあります。道向かいには阿蘇火山博物館やレストハウスなどが建ち並んでおり、多くの観光客が訪れます。(※他の草原は地元の方が管理しており、無断で入ることはできません)

 

★著名な方も草千里を訪れています★

 烏帽子岳の裾野にある草千里は、約2万7千年前に噴火した場所で、2つある水たまりの西側が最初の噴火の火口跡で、東側がその後溶岩ドームを吹き飛ばした時の火口跡になります。山頂から見下ろすと「人の顔」のようにも見え、芸術家の岡本太郎氏が「太陽の塔」を制作する時のモチーフにしたという話しも聞かれます。

 

 また、平成26年5月、宇宙ステーションから帰還された若田光一さんが、九州上空を飛行された時に「阿蘇の草千里のそよ風がとても恋しく感じられます。」とのコメントも残されています。

 

 余談ですが、私も幼い頃、学校の遠足やピクニックに行き、草原を駆け回ったりボール遊びをして転んで泣いた思い出があります( ̄∇ ̄)。

 草千里の情景はいろいろな方の記憶に残っているんですね。

 

 

顔に見える?(撮影20138月)

 

 


草千里西側の草原(撮影2013年5月)

 

 

 草千里は、複数の牧野で管理されており、牧野間の理解と協力が必要となります。ひとつの牧野が野焼きをやめたら他の牧野もできなくなるのです。近年、高齢化や担い手不足により、野焼きを続けることが難しい、または止めてしまった牧野が増えてきました。そこで、人手不足を補おうと県や市町村、野焼きボランティアなどの多くの協力を得て再生事業に取り組み、今年度は草千里一帯75ヘクタール中の北側30ヘクタールで、2月中旬頃に野焼きが行われる予定です。野焼きが景観維持にもたらす効果についても調査されるそうなので、とても興味深いです。

 

 人の手が加わることで成り立っている「二次的自然」の阿蘇の草原を私たちの手で再生して、それを後世に伝えていきましょう!♪

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2015年12月22日風は芸術家【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

えびのの橋之口ARからも雪の日記が届いていますね♪

先週くらいから、車のフロントガラスがバリバリに凍っていたり、阿蘇山が雪化粧していたり・・暖冬予想ながらも本格的に冬がやってきたようです。

九州は日本の中では南にあるので、雪が降らないイメージを持たれることもありますが、くじゅうや阿蘇、祖母山などの九州山地周辺や屋久島の山頂付近は雪景色に包まれます。

 

阿蘇に冬がやってきた!ということで、『氷』のいろいろな表情を紹介します {{ (>_<) }}ブルブル

まだまだ里には積もることは無いですが、山のほうでは景色がキラキラです☆

 

・草原の草、一本一本にも

とても薄いので日が出ると溶けちゃいます

 

・氷のスティックがにょきにょき~

草の生え方が違うと、風景も変わる

 

・カリフラワーのような・・??

岩陰の小枝にモコモコくっついてました

 

・氷がなびく

吹きっさらしの小枝たち

 

・紅葉の次は白!!

雪の花が咲きました♪

 

気温、湿度、地形などで氷や雪の質は異なり、そこに風がくわわることで、ちょっとヘンだったり美しかったり、ものすごい形にも変化します。不思議でなりません!

その時の気温や風向き、どうやってこんな形になったのかなぁなんてことを想像しながら歩くのも楽しいですよ♪

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2015年11月25日噴火警戒レベルが緩和されました!レベル3 → 2【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

この時期の阿蘇の草原、ヤマラッキョウが終わり、リンドウやウメバチソウも終わり、ススキの葉も緑が枯れ・・・すっかり茶色に染まってしまいました。

ススキの中に、あか牛がかくれんぼ♪

 

さて、この度(11月24日)、阿蘇中岳の噴火警戒レベルが71日ぶりに一つ緩やかになりました!阿蘇にとって重要な観光拠点である「阿蘇山上」。待ちわびていた観光業の方、観光や登山を計画していた方・・多いと思います!

【レベル2(火口周辺規制)】に緩和されて変わったこと・・・

★立入禁止の範囲が火口から1kmのエリアに縮小されました!火山博物館や草千里ヶ浜より上(先)の阿蘇山上広場まで行けるので、より近くで中岳を見学できる!

★阿蘇市から阿蘇山上を通って南阿蘇村に行き来できるようになりました。阿蘇パノラマライン(阿蘇吉田線)の全線開通!

★阿蘇山上広場、ロープウェイ阿蘇山西駅舎まで観光できます!阿蘇スーパーリングが体験でき、火山灰ラーメン、火山灰ソフトクリームもまた食べることができますよ~♪

★阿蘇山登れますよ!以下のルートが登山可能になりました。

  ・古坊中ルート

  ・杵島岳・往生岳ルート

  ・烏帽子岳→湯の谷ルート、地獄垂玉ルート、草千里ヶ浜ルート

  ・倶利伽羅ルート 火口から1km圏内の砂千里ヶ浜や中岳までは行けません。

  ・行儀松ルート 火口から1km圏内の砂千里ヶ浜や中岳までは行けません。

  ・高岳→仙酔尾根ルート

  ※【高岳→日ノ尾尾根ルート】は通行困難な箇所があるため登ることはできません。

登山道規制状況図(レベル2では黄色の部分は立入禁止です。)

 

『阿蘇中岳警戒情報』→阿蘇市役所ホームページhttp://www.city.aso.kumamoto.jp/

 

観光や登山を楽しめる場所が増えました~♪

気温が下がってきて、やっと阿蘇に冬がやってきた感じです、上着を持っていざ阿蘇へ(^.^)

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2015年10月26日ススキまっ盛り!九州自然歩道を歩いてみませんか?【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

スッキリとした秋晴れが続いていますね!山歩きにはもってこいの季節です♪

さて今回は、九州本土をぐるりと1周する『九州自然歩道』について紹介します。ぜーんぶを歩くと2,937km!家族向けのハイキングから本格的な健脚コースまで、様々に自然を楽しむことができます。

阿蘇地域においても、菊池渓谷から内牧-一の宮-中央火口丘-高森を経由して南外輪まで設定されています。

今回はこのうち、南外輪の「清栄山から高森峠」を紹介します。

 

まず「清栄山」。黒岩峠から往復1時間程度のお山、道は歩きやすいが、急坂が3度ほどあるのでゆっくりとマイペースで(一緒に歩いた方は「胸突き八丁」と言ってました)!山頂まではちらちらと南郷谷や南外輪が見え、「カルデラ」を感じることができます。

山頂に着くと、眼前に根子岳・高岳・中岳が現れ、周囲はほぼ360°の視界で、祖母山・くじゅう連山・高千穂・・・ホントに遠~くまで見渡せます。

南郷谷の風景 清栄山山頂

 

しかも、山頂近くには大きな岩があり、よ~く見るとそこには「古代文字」が残っているのです!磁場も強いらしく、方位磁石もくるくる回っちゃいます!不思議岩です。

 

清栄山を下りて、正面の牧野道(放牧地なのでゲートあり)を入るとそのまま高森峠へ歩くことができます。ゲートを入ると草原が広がっていて、コンクリートの舗装路(牧野道)と草原の中を歩く歩道と2パターンありました。せっかくなので草原の中を歩いてみると、歩道というより牛道(牛が歩いてできた道)を歩く感じ・・・少ししゃがむと牛目線になるので、何となく牛の気持ちに近づける気がしました。

ウメバチソウ、リンドウ、ヤマラッキョウ、センブリ、ナンバンギセル・・・秋の花にも出会います!

 もちろん牛もいて「どなた~?」って感じで近づいてきました!

   

     リンドウ           ウメバチソウ         ヤマラッキョウ

 

牛やススキ、秋の花を眺めながら進むと、一旦植林内を歩きますが、高森峠が近づくと再度草原に出ます。こちらの草原では、カワラヒワやノスリがせわしく鳴いていました。

帰りは草原ではなく牧野道を歩いて、行きとは違う景色、違う牛にも遭遇し、楽しめました~♪

 高い空に鱗雲、フワフワ揺れるススキ。とてもすてき!

 

オプションで・・お時間があるなら、「高森殿(どん)の杉」にも寄ることができます!

かつての高森城主が祀られている場所ですが、なんとも不思議な空間。ここだけ別世界、凜とした空気に包まれています。

 高森殿の杉

 

阿蘇カルデラ、五岳、牛、草原風景、草花、かつての高森城など、阿蘇の自然とちょこっと歴史にも触れながら楽しめる自然歩道です、阿蘇の南外輪を歩いてみませんか?

 

*ご参考までに!九州自然歩道のホームページ→ http://www.kltf.info/

 お住まいの近くにも自然歩道があるかもですね。おすすめコースや踏破証などの情報も掲載!

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2015年09月28日阿蘇中岳噴火のその後【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

阿蘇の草原ではススキの穂が出はじめ、風にゆっさゆっさと揺れています。

 米塚もすっかり秋の装い

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秋の大型連休前の9月14日(月)、阿蘇が全国放送されました!ご存じの方も多いと思われますが、阿蘇の中岳が噴火しましたね。

午前9時43分の噴火時は、火口から5kmほどの場所で作業中でしたが・・・ゴウゴウと上がる黒煙、噴火の音、山肌を下りてきそうな噴煙、とても目に焼きついています。もの凄い光景だったので、山上にいる防災関係者や観光業で働く方々、観光客などに『逃げてっ!!』と祈る思いでした。

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今回の噴火により噴火警戒レベルが「2(火口周辺規制)」→「3(入山規制)」に引き上げられ、その後、道路規制や対策本部の立上げ、登山道規制などを関係各所で対応しました。幸いにも人的被害はありませんでした。

  

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ちなみに、地元のおっちゃんは・・「こんくらいの噴火は昔はいつでんありよったばい!」と冷静でした。

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※道路・登山道規制情報や観光地の状況についてはこちらをご参考下さい。

  熊本県ホームページ http://www.pref.kumamoto.jp/Default.aspx

  阿蘇市ホームページ http://www.city.aso.kumamoto.jp/

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連休中は好天が続き、まさに行楽日和!噴火の影響がどうかなぁと思い、草千里ヶ浜、大観峰、阿蘇神社周辺など・・・を少し回ってみましたが、どこも観光客が多くて一安心(^.^)

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キラキラのススキ、雲海、秋の草花、外輪山のトレッキング、紅葉、黄金色の田んぼ、フルーツ、温泉・・・そして、噴煙を上げる阿蘇山の風景!秋が深まるにつれ、魅力たっぷりの阿蘇です。皆さんも遊びに来て下さいね~♪

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2015年09月04日阿蘇の草原の「健康診断」! 地元の子どもたちが調査しました。【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

この夏、16年ぶりに大型台風15号が熊本に上陸し、各地で大きな災害が出ています。阿蘇でもハウスが歪んだり、看板が壊れたりしていました。果実や米が実る時期でもあり収穫などに影響が少ない事を祈るばかりです。被害に遭われた皆さまには心よりお見舞い申し上げます。

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さて、夏休み中に、草原の生物多様性を評価する「調査マニュアル」を使って、牧野組合の方々や地域の子どもたちを対象に、学習会を開催しました。この「調査マニュアル」では、草原の生物多様性を点数化し、健康状態のチェックをすることができます。

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調査区1:採草地として利用している

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調査区2:野焼きだけを行っている

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阿蘇市内の牧野にて地域の小学生10名と草原アドバイザーなど約20名で、「北外輪山地域(採草型草地)」マニュアルを使って、条件の違う2つの調査区(「採草地」と「数年前に採草をやめて、今は野焼きだけ」)を設定し、それぞれ2ヶ所の調査枠を設け、草丈や植生の違いを見ながら観察を行いました。

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専門の講師と草花を探しました

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マニュアルを見ながら草花の同定

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子どもたちは、最初は戸惑っていましたが、草花を見慣れてくると、隠れているものも見つけられるようになって、葉っぱの形やつき方なども興味を持って聞いていました。

また、調査の他にも筑後川の源流で水遊びをしたり、虫や動物の痕跡を見つけたり、草花の名前当てクイズでは、10数種類もあった草花の名前をみんな答えられるようになりました。

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肝心な草原の健康状態は、採草地はいずれも"最高の状態"となり、野焼きだけの所は"最高の状態"と"まあまあ"といった結果がでて、よく手入れされているということが分かりました。

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阿蘇草原の生物多様性評価用調査マニュアルとは

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平成22年から九州地方環境事務所が取り組んでおり、阿蘇郡市内の牧野を「北外輪山」「南外輪山」「中央火口丘」「波野村・高森町」などの6つの地域に分け作っています。「採草」、「野焼き」、「放棄」などの草原の管理形態によって見られる植物が異なるため、それぞれの管理により増えてくる植物を指標種とし各6種類を選定したものです。現在、5つの地域のマニュアルが完成しています。

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植物図鑑の例

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<調査の流れ>

■調査目的:牧野内に生えている18種類の植物を探して、草原の健康状態をチェック。

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■調査時期:8月上旬~9月上旬の盆花の咲く頃

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■調査場所:牧野の中で草原の健康状態を知りたい場所を2ヶ所選ぶ

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■調査方法:・草原アドバイザー(専門の講師)と同行し、周辺の草原の様子を観察し、記録シートに記入する。

・3m四方の調査枠を2ヶ所設置し、見つけた植物をチェックする。

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■調査する種

A採草していると増えてくる6種

 (アソノコギリソウ、オミナエシ、他)

B野焼きだけしていると増えてくる6種

 (ハバヤマボクチ、オオアブラススキ、他)

C放棄してしまうと増えてくる6種

 (クマイチゴ、スイカズラ、他)

の計18種類を指標種として選定

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■採点:上記の項目に該当する植物の種数を書き(上限あり)、それぞれに点数をかけ、たしたり引いたりして合計点を出すと調査した場所の健康状態がわかる。

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上記の他にも、西原村にて牧野組合の方々が自主的にマニュアルを使った調査に取り組まれました。

牧野組合のみなさんにも活用してもらうことで、植物も覚えられ、数値化することで牧野の状態を実感することができるので、ぜひ取り組まれてみてはいかがでしょう!

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2015年08月18日阿蘇の草原とゾウ!!【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

『阿蘇の草原』と言えば? 草千里ヶ浜・あか牛・キスミレ・ユウスゲ・野焼き・草原再生・・・などを連想されると思いますが、【ゾウ(象)】を思い浮かべた方はいらっしゃったでしょうか?

実は、草原とゾウに深い(?)繋がりがあるのです。

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そのことを知るきっかけは、地元・行政・関係機関・有識者等により構成される「阿蘇草原再生協議会」の構成員である、東海大学の先生からのお話しでした。熊本市動植物園のゾウは阿蘇の草原の野草を毎日食べているとのこと・・・私は、草原とゾウ!?えっ!と驚きでした。そこで実際に動植物園に真相を確かめに行ってきました。

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熊本市動植物園は熊本市内にあり、動物園・植物園・遊園地が1つの場所で楽しめる施設で、私も足を運んだことがあります。そこで生活するアフリカゾウのエサが、なんと!阿蘇の草原から採草した野草だったのです。少なくとも25年以上はエサとして使っているそうです!

 動植物園のアフリカゾウ マリーさん♪

そもそも、なぜ阿蘇の草原の野草をエサにしているのか!?ゾウ担当の方にお話しを聞いてみると、ゾウは、本来野生では硬い大型の草をたくさん食べているので、一般的に動物園で与えている品種改良された軟らかい牧草ではゾウの消化機能に合わず、あまり消化されないそうです。そのため、ゾウにとっては粗豪性のある阿蘇の野草がピッタリだったのです!

また、どのくらいの量食べているかというと、毎日1頭あたり乾草(採草した野草を干したもの)を60kg(緑のままの草の量換算では約200kg)も食べているとのことでした。定期的にブロック状の乾草が阿蘇から運ばれてくるそうです。

 

(写真左)ブロック状になったゾウのエサ

(写真右)エサに阿蘇の石(こぶし大の溶岩)が混ざっていることも・・ゾウが鼻で選り分けるらしい

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1年間で考えると1頭あたり約22tもの乾草を食べ、この量の草を確保するには約3ha分の草原が必要になるそうです。ちなみにゾウは2頭いました!!

左がエリ(メス)、右がマリー(メス)♪ どちらも鼻で器用に阿蘇の野草を食べている

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阿蘇の草原は主に「放牧」「採草(草刈り)」「野焼き」を代々続けてきたことにより維持され、中でも「採草」は草原性植物の多様性に大きな役割を果たしていることが知られています。放棄された草原や野焼きのみの草原よりも、採草利用している草原はよりたくさんの種類の植物が生育できるそうです。2頭で約6haもの草原をエサとして採草利用しているゾウの貢献度はとても大きいものです!

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ゾウ担当の方のお話しでは、他の動物園からはゾウのエサに国産の野草を使っているので羨ましがられるのですが、輸送の手法・コストがネックのようです。熊本市動植物園は阿蘇から近いという立地の良さが幸運でした。

また、お話しの中で、草原再生のPRに繋がるような案も出てきたので、これを機にいろいろと連携できたらおもしろいなと感じました♪

ちなみに、熊本市内の水道水は阿蘇山の伏流水100%なので、エサも飲み水も阿蘇産となると動植物園のアフリカゾウの体のほとんどは阿蘇の恵みで支えられているのです。ゾウをきっかけに阿蘇草原再生の輪が新たな広がりをみせるかも!?

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2015年08月17日登山者の遭難防止に!インターネット版登山ルートマップの運用が始まりました。 【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田

長梅雨がやっと明けたら、すぐ立秋になり雲海が見られるなど、清涼感を感じる風景に変化しています。朝晩は涼みやすく時折肌寒くも感じます。お盆期間中も多くの観光客の方がお見えになり、観光地も賑わっていたようです。

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さて、阿蘇山遭難防止対策協議会が取り組んでいる毎年恒例の登山ルート『烏帽子岳・杵島岳ルート』の点検に参加しました。併せて、7月31日からスマートフォンの衛星利用測位システム(GPS)機能を利用した登山遭難防止対策の運用が始まり、その試験も行いました。

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阿蘇山で遭難した場合を想定し、熊本県のホームページ(QRコードからもアクセス可)【阿蘇山登山情報】【現在地通報システム】に入って、空メールを送ると現在の位置情報などが県警に届くようになります。

また、【登山ルートマップ】に入ると地図上で現在地が確認でき、ルートから外れていないか確認することもできます。

しかし、濃霧や雨が降るなどの悪天候時や電波の状態によっては誤差が発生することもあります。

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試験中も、場所によっては繫がらなかったり、正確な位置が確定できなかったりしました。操作も慣れていない私にはちょっと難しく、送信までできませんでした。全国初のシステムなので、正確に運用できるように、これから不具合や課題を改善していくとのことです。

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それから、スマートフォンを利用して「登山届け」も提出できるようになりました。事前に届けを出すことができ、気軽に利用できる手軽さがいいと思います。

また、『登山届け記帳所』が、烏帽子岳・杵島岳の登山口に設置され、登山届けを提出してもらえるよう、新しいシステムの紹介と裏面には登山届けがついたチラシも作成し、記帳所に置いてあるので、登山の際には必要事項ご記入の上投函ください。

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登りやすいと言われている阿蘇山でも遭難事故は発生していますので、これくらい大丈夫と思わずにぜひ活用して、事故を未然に防ぐことにご協力お願いします。その他、気象情報や火山ガス、火山灰などの火山情報なども事前に確認して、気持ちよい登山をお楽しみください。

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2015年08月17日草原の『歴史書』、後世に引き継いでいくために・・【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 阿蘇 アクティブレンジャー 田上

まだまだ暑いっ!と感じつつ立秋を迎えたその2日後、雲海が現れました。阿蘇では晩夏から秋にかけて雲海が見られることが多く、残暑が厳しい時期ですが季節は確実に移り変わっていることを感じます。

8/10大観峰にて。ツーリング客も小休止

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さて、今回は阿蘇草原再生に関係した業務を紹介します。

阿蘇地域の草原は面的に広ーく連なっていますが、実は160ほどの「牧野組合」がそれぞれに維持管理作業や放牧を行っています。牧野組合はおおよそ集落単位で分かれ、畜産業に関わる農家で構成されています。例えば、「町古閑牧野」「黒川牧野」「上田尻牧野」・・・のようにそれぞれに名称も異なります。

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環境省では、各牧野の野草地の現状、動植物・昆虫の生息状況、過去から現在に至る牧野の利用・管理状況の変化、牧野内の地名やその由来等を調査し、牧野維持管理の課題を整理した上で、草原環境保全の方針や保全計画を策定する「野草地環境保全計画策定検討業務」(通称、【牧野カルテ】)を平成17年度から毎年3牧野程度ずつ実施しています。

牧野毎に約6回の検討会やヒアリング、2回の現地調査を実施しますが、各回毎に牧野組合の方にも集まっていただき、地元と調査の専門家などと一緒に作り上げていきます。

ヒアリングや検討会では、昔の牧野の様子に詳しい長老などから地名、放牧状況、管理作業等について聞き取りをしますが、その内容に付随した"昔話"がとても勉強になるなぁと思って聞いています。地名も谷や崖、斜面など一つ一つに細かく名称があり、多いところでは数十もの地名があることも。

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現地調査では、実際の地形を見ながら地名や利用状況の確認とともに、動植物の専門家による調査も入ります。この場にも組合の方に同行していただき確認していきます。

現地ではさらにいろいろなお話しが聞けて、「昔はあぎゃんところ(あんな遠く)まで歩いて水汲みに行きよった」「毎年ここで山の神さん(牛馬の安全祈願)ばするもんなぁ」「わっか頃(若い頃)この土塁ばおおごつ(苦労して)して作った」「稲手(いなで)の作り方ば教えよか」「こん(この)草はうまかもんなぁ」など苦労話や草のワザ等について教えてくれます。

*いなで・・ヒモではなく稲やカヤの茎を利用して草を束ねる技術。

 

山菜やカヤの扱いについて教えてくれた牧野の方

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また、放牧や野焼きをするにあたり、作業道の確保や野焼きの障害となる小規模樹林の伐採など、作業負担を軽減できるような要望も聞き保全計画としてまとめます。

※牧野カルテ作成の次年度以降、保全計画の中から優先度の高い事業について整備を行っていきます。

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牧野組合員が高齢化する中、細かい地名や過去の牧野の状況、動植物について、若手組合員に引き継がれることが困難になっている現状があり、牧野カルテは牧野組合の『歴史書』としての意味合いもあります。牧野毎に歴史があり文化も少しずつ異なります、牧野のおじさん達の昔話とともに牧野カルテも代々引き継がれていくといいなと感じます。

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