ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2020年9月18日

2件の記事があります。

2020年09月18日ツシマウラボシシジミの植栽観察会【対馬】

対馬 清家日向

こんにちは!

対馬自然保護官事務所の清家です。

9月12日に対馬高校ユネスコスクール部員の皆様が行った

ツシマウラボシシジミ植栽観察会に私たち対馬事務所の職員も同行させていただきました。

ツシマウラボシシジミは対馬の上島にのみ分布する日本固有種のチョウで、

絶滅危惧ⅠA類に登録されています。

現在、日本でもっとも絶滅が危惧されるチョウであり、特徴として

翅裏に白の地に黒い目立つ斑紋があります。

この観察会ではツシマウラボシシジミの保護区で観察と食草の植栽を行います。

こちらが保護区内で、

こちらが保護区外になります

見比べていただくと下層植物の生え方が全く違うことがお分かりいただけると思います。

シカの食害によって保護されていない場所の下層植物はほとんどやられてしまっています。

保護区内で対馬市職員の方から

ツシマウラボシシジミの生態や食草、サナギの見つけ方などを

レクチャーしていただき、いざサナギ探しの始まりです!

見つかりました!

となりの指と比べるとかなり小さいのがお分かりいただけると思います。

サナギ探しの次は、ツシマウラボシシジミの食草を保護区内に植栽していきます。

これらヌスビトハギなどの食草は、対馬高校の皆様が育てられたものになります。

日があたる場所に1苗ずつ植えていきます。

なんと!作業中にツシマウラボシシジミの卵や

撮影はできなかったのですが成虫のメス個体も確認できました!

卵は肉眼でもなかなかとらえることが難しいほどに小さいです。

今回の観察会では色々なことを学ぶことができました。

対馬市職員の皆様、対馬高校の皆様、ありがとうございました!

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2020年09月18日タデ原湿原 輪地切りを行いました【くじゅう地域】

阿蘇くじゅう国立公園 大島 将貴

こんにちは。

阿蘇くじゅう国立公園と言えば、草原景観が魅力の一つでもあるのですが、この草原の維持のために野焼きが行われています。野焼きは春に行われ、この後の真っ黒になった草原も阿蘇くじゅうを代表する春の景色でもあります。

   

【野焼き】                    【春の野焼き後】

この野焼きを行うために、毎年秋に「輪地切り」を行っています。これは野焼きの時、隣接地の山林や建物に火がうつらないように、草を切っておくものです。また、その後、切った草を燃やす「輪地焼き」を行い、防火帯と呼ばれる幅10メートルほどのラインを作っていきます。

  

【輪地焼き】                   【防火帯】

現在、くじゅうでは猪ノ瀬戸湿原、由布岳、坊ガツル、タデ原湿原・飯田高原周辺、久住高原で野焼きが行われています。昔の形態のまま、地域で野焼きを実行するところもあれば、形態を変え、実行委員会として活動するところなど、様々な歴史をたどりながら野焼きを継続しています。

今回輪地切りを行ったタデ原湿原では、昭和の時代には牛の放牧が行われており、地域での利用がなされていました。地域の共有地として土地を管理し、農繁期以外に各戸が牛を放牧してきました。また、家畜のための干し草、茅葺き屋根を葺き替えるための建材としての利用もなされていました。

  

【干し草を運搬】※長者原VC提供

以前は地域の暮らしに関わっていた草原ですが、放牧の必要のない農業形態、家畜を飼わない生活形態により草原の利用が減少していき、野焼きが中断されていた時期があります。その時期を経て、地域有志の実行委員会により、野焼きを復活させ、現在も継続してタデ原湿原での野焼きが行われています。

 

【昭和36年】※長者原VC提供           【令和2年】

上の写真を見ていただくと、59年の時を経ていますが、当時と変わらず草原が広がっています。様々な課題もありますが、当たり前のように受け継がれてきたものを、当たり前に次の世代に受け継いでいければと思います。

野焼きに関しては、今後の野焼き継続に向けて、課題解決に繋がるように輪地切りや輪地焼き等の作業だけではなく、輪地切り箇所の情報をまとめ、整理することを昨年度から行っています。

今回はタデ原湿原と隣接する建物、森林沿いの輪地切りを地域の観光協会有志で行いました。7月の豪雨の影響で地形が変わってしまった場所などあったのですが、無事作業を終えることが出来ました。引き続き10月に輪地焼きを行います。

【輪地切り作業中】

輪地切り、輪地焼きが終わると、山頂付近から紅葉が始まり、冬へと向かっていきます。

少し肌寒い中、すすきの草原に囲まれて歩くタデ原は最高です。

昼間ももちろん気持ちが良いのですが、早朝、夕方は利用者も少なく特別な時間が味わえます。

最後に、今回長者原ビジターセンターより、やまなみハイウェイができる前のタデ原湿原や、湿原に牛が入っていた時代の貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございました。

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