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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2020年2月12日

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2020年02月12日上段の野における野焼き作業 【平戸・九十九島地域】

西海国立公園 岡山桂

 こんにちは!

 佐世保自然保護官事務所の岡山です。

 2月2日(日)、パークボランティア会員や九十九島ビジターセンター職員の計8名で朝9時から始まった上段の野での野焼き作業のサポートに参加しました。平戸島内の代表的な草原である川内峠、佐志岳、上段の野の3ヶ所では毎年この時期に野焼きが行われており、今年は3ヶ所同日に行われました。上段の野の野焼きは、以前放牧のために行われていましたが、草原の利用がなくなった現在では、地域住民同士のつながりや、草原景観、草原性植物の維持などを目的に野焼きが行われています。

 私たちは地元の方の指示に従い、火入れ作業員の後を追いながらクロキの枝の火消し棒で飛び火や残り火を消す役割を担いました。

左:火消し棒(クロキの枝) / 右:火を見守る様子

 火が入ると草に紛れていたノウサギが驚いて逃げ出し、猛スピードで林の中へ消えていきました。まさに「脱兎の如く」という表現の通りの素早さで、撮影を試みるも画面内に収めるのがやっとでした。

逃げ出すノウサギ

 火から逃げ出すのは虫たちも同じで、炎が近づくと安全な所へ避難していきます。野焼きの影響を理解しているのか、どこからともなく集まった数十羽のトビたちが空から狙いを定めます。

左:焼き終えた場所へ避難したバッタの仲間 / 右:虫や小動物を狙うトビ

 作業当日は天候に恵まれ日程通りに行うことができましたが、直前に2週間近く続いた雨の影響もあり、一部の草はまだ湿っていました。そのため、燃え残った部分は地元の住民のみで午後から再度焼き直すこととなり、他地区から援助に来た方々と私たちは一足先に解散しました。

山頂付近より 左:野焼き前 / 右:野焼き途中

 

 今は焼け野原となった上段の野も暖かくなるにつれまた草原風景を取り戻します。季節ごとにフデリンドウやワレモコウなど美しい花も見られ、秋には九十九島ビジターセンターが開催する自然観察会もあります。利用のため長年に渡り手入れされていた環境には、里山林や水田と同様、人の手が入るからこそ生息環境が維持されている生物も多く存在するため、今後もこういった作業のサポートを続けていきたいと思います。

 

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