2019年4月 9日
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2019年04月09日春のはじまり~阿蘇の草原だより~ 【阿蘇地域】
阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 藤田
こんにちは、阿蘇事務所の藤田です。新年度の始まりと同時に、新元号は『令和』との発表があり、ワクワク感溢れる阿蘇から【春の芽生え♪】のお知らせです。
今年の野焼きは、週末ごとに悪天候のため延期続きでしたが、早めに野焼きが終わっている草原では、春の訪れを告げる『キスミレ』が咲いていました。大陸系の植物で、朝鮮半島や西日本の草地に点在しているそうですが、一面に広がる様が見られるのは、この時期の阿蘇くじゅうだけの光景なので貴重ですよ!
野焼き後のススキの中に咲くキスミレ
ヒメスミレ
ツクシショウジョウバカマ
また、4月1日より、熊本地震で通行止めだった『仙酔峡道路』も開通しました。
5月頃には、仙酔峡のミヤマキリシマも見られそうです♪
4月11日(木)には菊池渓谷の山開きもあり、27日(土)には南阿蘇ビジターセンターに隣接する野草園での観察会を開催予定です。春の花はこれからが見頃です。情報をチェックしてくださいね。
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所アクティブレンジャーの上開地です。
春は旅立ちの季節。
沖縄の冬鳥達も、繁殖のために北へ移動していく時期になりました。
毎月開催「森のお散歩観察会」ですが、
4月7日は春の特別編として辺戸岬から旅立つ渡り鳥の群れを観察してきました!
(※一部写真を参加者の西尾さんからお借りしました。写真右下にクレジット有り)
▲晴天の辺戸岬 観察日和です!
▲海をのぞくと、リーフがはっきりと見えて綺麗でした。
▲到着早々、早速渡りの群れを発見。
さて皆さん、この鳥の種類は何でしょう?
沖縄の冬鳥といえば、"サシバ" "シロハラ"が代表的ですよね。
ですが、この群れの正体はこの鳥です↓
そう、"ヒヨドリ"です。
「"ヒヨドリ"って1年中いるんじゃないの!?」
とお思いの人もいるのではないでしょうか。
それも正解です。
日本全国に生息している"ヒヨドリ"ですが、実は北から南までの地域で8亜種に分けられています(日本鳥類目録第7版より)。
やんばるで1年中見られるのは、沖縄島を中心に生息する亜種"リュウキュウヒヨドリ"。
ですが冬になると、北海道や内地の冬の環境が厳しい地域から、亜種"ヒヨドリ"(北海道から九州(屋久島)にかけて生息)の一部が群れとなって沖縄にやって来ます。
実は、そういった生態をしているのはヒヨドリだけでなく、メジロやウグイスなども同じように冬にやって来る内地の個体がいます。
4月頃になると、沖縄で暖かい冬を過ごした鳥たちが繁殖地へ向けて旅立つ様子が見られるようになります。
ですが、野鳥にとって長距離の渡りは様々な危険を伴います。
▲上空を飛ぶ群れが一気に急降下を始めました。何が起きたのでしょうか。
▲海面スレスレを飛ぶヒヨドリたち。その中にひときわ大きな鳥が混じっているのが見えますか?
"ハヤブサ"です。
(沖縄では冬鳥。環境省の種の保存法で、ヤンバルクイナと同じ国内希少種に指定されています、)
野鳥の中で世界最速の飛翔スピードを持つハヤブサは、上空から獲物を蹴り落とすように襲うので、ヒヨドリたちは海面スレスレを飛んで逃げます。
▲何度も群れが攪乱されるうちに、1羽が群れから外れてしまいました。
そして...
▲その次の瞬間、あっというまにハヤブサがヒヨドリを捕らえました。
まるで、シマウマを襲うライオンのような弱肉強食の世界が、私たちの身近で繰り広げられているのです。
この日、このヒヨドリの群れはハヤブサ3羽に度々襲われ、9時前から見ていましたが11時頃に観察会を解散するまで、北へ旅立つ事はありませんでした。
ヒヨドリたちは、天敵に襲われるリスクを減らす為に、大きな群れで渡りをすると考えられます。この日、最後に撮った群れの写真を数えてみたら200羽以上の群れでした。
ハヤブサなどの天敵から身を守るのは、自分で乗り越えなければならない試練です。
ですが、沖縄を含む、琉球列島はこういった渡り鳥たちが体力を付けるための中継地点になって、小さな島のちょっとした緑地が実は重要だったりします。
みなさんの地域の緑地にも、いつもと違う鳥たちが来ているかも知れません。
春のお散歩で新しい出会いを探しに、観察に出かけてみてはいかがでしょうか。
今月の一枚「満開のハマボッス」
日本は北海道から沖縄県、東南アジア、太平洋諸島まで広く分布する海岸植物で、各地域で遺伝的な特徴を持っているそうです。
開発されていない場所では、群落になっていてこの時期とっても美しいです。
どうか持ち去らないで、その場所で大切にみてあげてください。