2018年6月26日
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2018年06月26日放獣まで、あと一歩
西表石垣国立公園 西表管理者
みなさん こんにちは 西表自然保護官事務所の関東です。
前回、紹介した保護中の仔猫たちですが、治療も終了し野生復帰に向けてのリハビリ期間に入りました。保護してから1か月が経ち両個体とも痩せていた体にも肉がついてきてずっしりとしてきました。
メス(左)保護時535g⇒1265g オス(右)保護時540g⇒1445g(6月17日時点)
さて、イリオモテヤマネコは他地域のヤマネコ類と違い食性に偏りがありません。狭い島で生き残るための知恵ともいうべきか両生爬虫類から魚類、鳥類、昆虫類、甲殻類などと様々なものを食べています(もちろん哺乳類も捕食します)。とりあえず偏食にならないようにと、この2頭が住んでいた場所に生息していて食べることのできる生き物を毎食用意して与えています。
カエルはヌマガエル、カジカガエル、ヒメアマガエルなどを与えてみましたが保護前から食べたことがあったのかすぐに捕まえて食べました。トカゲはキノボリトカゲ、スベトカゲ、イシガキトカゲなどを与えました。キノボリトカゲは初めて見たのか捕らえようとしたときに唸り声をあげました。ヘビはサキシママダラを与えてみましたが、これも初だったようでヘビに威嚇され、ヤマネコのほうが後ずさりして逃げてしまいました。その後、何度かトライするもヘビが動くたびに及び腰になってしまい狩り失敗が続いています。
昆虫はカマキリやツユムシの仲間は躊躇せずに食べましたが、バッタやコオロギはかみ殺すだけで食べませんでした。セミもツマグロゼミは食べてもクサゼミは食べませんでした。
甲殻類は糞からよく見つかるテナガエビを用意しました。オスは尾の部分と前脚以外は食べたようでしたが、メスは水の中から引っ張り出して遊んだ後に放置して食べませんでした。
水への抵抗もなくすために容器に水を張って中にオタマジャクシやカエルを数匹放してみました。メスは躊躇せずにそのままバシャっと水の中へ入りましたが、オスは足先が濡れるのを嫌って、前足をちょんと浸けてもすぐに出してプルプルっと水を払っていました。
室内には木も組んで設置しています。台を取り付けたところお気に入りの場所になったのか、日中はご飯を置いても降りてこないことがあります。
モニターで観察していたところ、オスは寝返りを打つときに滑り落ちそうになっていましたが、前足で踏ん張って元の位置へと戻っていました。メスは、ほぼ垂直になっている木をそのまま登れるので筋力もついてきたようです。
今後の予定としては、準備の整った順番で山へ帰すことになり保護地点から少し山へ入った林内で放す予定です。放獣後、付近の道路や集落へ出没することもあるとは思いますが地域のヤマネコとして、みなさんで見守ってくださるとうれしいです。
こんにちは。
くじゅうではミヤマキリシマの季節も終わり、今年も梅雨に入りました。
この時期になると登山者の数も減り、夏前の静かな時期を迎えています。
大雨後の登山道では土砂崩れや倒木等被害が出ることもあるのですが、今回の巡視では登山道に大きな崩れなどは無く、また、山で見られる顔ぶれが変わっており、夏に向けて自然も動き出しているのだなと感じました。
こちらは登山道沿いに咲くナルコユリです。
↑これは横から撮った写真ですが、 ↑上からの写真
上から見ると花にに気づかずに通り過ぎてしまうこともありそうです。
似ている花にアマドコロがありますが、ナルコユリは茎が丸みを帯びておりアマドコロは角張っているので茎を触って見分けることが出来ます。
ノアザミ×ウラギンヒョウモン
よほどノアザミが好きなのでしょう。ノアザミとのこのショットはよく見かけることが出来ます。
イブキトラノオ
タデ原や坊ガツルで見られます。もうそろそろオカトラノオも咲き始める頃です。
最後にくじゅうでは時期を終えてしまったのですが、
ギンリョウソウ(ツツジ科)
ぱっと見る限り、キノコにも見えてしまいそうですが、ツツジ科なんです。
そしてこの謎に迫るべく現在、長者原ビジターセンターではギンリョウソウの企画展示を開催しています。
「ギンリョウソウは、なぜ、ツツジ科になったのか」
更に展示を見ていくと
ギンリョウソウ→ツツジ科→くじゅうのツツジの仲間へと続いており、
見応えのある内容となっています。
企画展の開催期間に関しましては7月半ばまでを予定していますが、詳細な日程は
長者原ビジターセンターまでお問い合わせ下さい。
長者原ビジターセンター 0973-79-2154