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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2017年7月 3日

2件の記事があります。

2017年07月03日自然観察会「知林ヶ島への砂洲渡り」

霧島錦江湾国立公園 鹿児島 前平理恵

 625日(日)に鹿児島地区パークボランティアによる自然観察会に参加してきました。

干潮時にしか渡れない知林ヶ島まで歩きながら、いろいろな生きものを観察したり、歴史についてのお話を聞いたりと参加者の方々も楽しい時間を過ごされたようでした。

砂の道を歩いて知林ヶ島へ!まずは知林ヶ島周辺の歴史について。

知林ヶ島は指宿市の西端に位置する場所で、あまり広くは知られていませんが、そこから特攻隊が出撃していたという歴史があります。知林ヶ島へ渡る砂の道の途中には、その頃使われていた水上機の頭の部分が転がっており、現在のような観光地ではなく、戦場地だったことを実感することができます。

この水上機の残骸、5月までは完全に砂に埋もれていたのにこの日は姿を現していました。砂の道の状況は一刻ごとに変化しているのですね。

戦時中に使われた水上機の残骸について説明中 水上機の残骸にはフジツボや海藻がいっぱいくっついています。

     ▲水上機について説明中          ▲表面には海藻やフジツボがいっぱい!

知林ヶ島までの砂の道は約800m。途中でいろんな生きもの達に出会いました。

私のイチオシはこの日初めて見た「ワレカラ」! 

波打ち際に転がっている海藻をよく見ると、たくさんの小さい虫のようなものがうようよと動いています。

これは「ワレカラ」といって、エビやカニの仲間です。

ナナフシみたいな姿でカクカクダンスをしているので、見ていて飽きない生きものでした!

海藻の隠れ家にたくさんいるワレカラという生きもの。虫のナナフシみたいです。 カニも海藻に同居してました。

     ▲海藻にいっぱいいたワレカラ。           ▲カニも同居しています。

その他にもおもしろい生きものがたくさんいました。

いろんな色や模様のヒトデ達や光る点線がきれいなギンポ、ウニの死骸や波にもまれてマリモもみたいに丸くなった海藻など。

また、ワレカラに続きイカの卵も初めて見ました。もうすぐ生まれそうなイカの赤ちゃんが、なんとも言えないかわいさでした♪

加えて、普段は片方ずつの貝殻しか見つからないモクハチアオイガイですが、きれいにハート型にくっついたものを発見!しかもヘビガイのおまけ付きでした。これ見つけたら超ラッキーです☆

いろんな色のヒトデがいっぱい!裏のわしゃわしゃした足の観察もおもしろいです。       ▲いろんな色のヒトデがいっぱい!裏のワシャワシャした管足観察もおもしろいです。

波際に打ち上げられたギンポ。模様がきれいです。 モクハチアオイガイ&ヘビガイ

▲波際に打ち上げられたギンポ。模様がきれいです。    ▲モクハチアオイガイ&ヘビガイ

      マリモみたいな海藻 マリモ海藻の中にはエビが隠れてました。 

         ▲マリモみたいな海藻       ▲まりも海藻の中にはエビが!

丸い透明な玉がつながっているこれ、何でしょう? イカの卵です。透明なボールの中にちっちゃいイカが見えます!

       ▲これ何でしょう?         ▲答え:イカの卵。ちっちゃいイカが見えます!

ウニの死骸。トゲがなくなってまん丸に。 ソテツの実。梅干しみたいにしわしわです。

 ▲ウニの死骸。トゲがなくなってこんな状態に。   ▲ソテツの実。梅干しみたいにしわしわです。

ソテツの実の上にキラキラの透明ボールがありました。 海ブドウ。キラキラボールはこれかな?

   ▲ソテツの実の上にキラキラボールが!     ▲海ブドウ。キラキラボールはこれかな?

なまこ。触り心地はウォーターベッドみたい。 なまこの口のうにゃうにゃ観察もおもしろいです。

 ▲なまこ。触り心地はウォーターベッドみたい。  ▲なまこの口のうにゃうにゃ観察もおもしろい!

何度となく歩いているこの砂の道も、いろいろなことを知っている方々と歩くと、新しい発見がいっぱいでとても楽しかったです!

この砂洲渡り自然観察会、年に数回行っていますので是非ご参加ください。

(開催日が決定した際は、このAR日記等でお知らせする予定です。)

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2017年07月03日身近な自然を知る:大軣(だいごう)小学校での生き物調べ学習

出水 本多孝成

 出水自然保護官事務所のアクティブ・レンジャー本多です。

 今回は、薩摩川内市立 大軣(だいごう)小学校の授業の一環として行われた、身近な自然の調べ学習のお手伝いに伺いました。その時の様子をお伝えします。

 大軣小学校は祁答院(けどういん)町の中心部に位置し、藺牟田池のベッコウトンボを題材にした授業を実施するなど、藺牟田池とも深い関わりを持つ学校です。

 大軣小学校では5月23日(火)に学校の近くを流れる瀬早川の生き物調べの授業(「瀬早川をリサーチ」)が四年生を対象に行われました。出水自然保護官事務所ではこの授業のお手伝いとして、子供たちと一緒に生き物の採集・解説、教室での調べ作業のお手伝いをしました。

 

▲ 生き物採集の様子。いつの間にか全身ずぶぬれになっていた男の子もいました。

 子供たちは野外での活動を楽しみにしていた様子で、我先にと川へ入り、たも網や川の中の石を返して素手などで魚やトンボ、カエル、水生昆虫、貝類の生き物を捕まえました。カエルを触るのを怖がる子供もいれば、仲間達と捕まえたものの大きさや珍しさを競い合う子供もいて、何かがタモ網に入るたびに元気の良い声が上がっていました。自然の中での生き物採集は、子供たちにとっても特別なワクワク感があるようで、皆、まるで未知のお宝を探しているかのように目をキラキラと輝かせていました。

 

▲ 生き物調査で捕まえた主な生き物たち。カワムツ、サワガニ、カワニナが多く捕れました。

 

▲ 調べ学習の様子。持ち帰った生き物と図鑑をじっくりと見比べます。

 次に、捕まえた生き物を教室へ持ち帰り、図鑑を見ながらスケッチしたり、特徴をまとめたりしました。自らの手で捕まえた生き物だからこそ好奇心も高まり、川では元気のよかった子供達が黙々と生き物調べの作業に取り組んでいました。中には大人でも識別が難しいヤゴ(トンボの幼虫)を、一生懸命図鑑とにらめっこをしながら、「コオニヤンマのヤゴだ!」と識別する子供もいました。子供達が調べた結果、カワムツ、サワガニ、カワニナなど、瀬早川はきれいな水に生息する生き物が多いことが分かり、また、水のきれいな川であることを知り子供たちはとても驚いた様子でした。

 調べ作業が終わった後、捕まえた生き物たちを元いた川へ帰して、授業は終了しました。

 

▲子供達から寄せられた感想文。一人一人、枠いっぱいに書いてくれました。

 そして後日、嬉しいことに子供たちから生き物調べの授業の感想文、写真や絵を描いて模造紙にまとめた物を頂きました。

 感想文には、「今までタニシだと思っていた貝がカワニナだと知り驚いた」や「瀬早川には様々な生き物がいることを知ることができた」との声がありました。瀬早川は、子供たちにとっては「あたりまえの自然」ですが、今回の授業をきっかけに、身近な自然の中にある面白さ・不思議さに改めて気付いてもらえたのではないでしょうか。

▲大軣小学校の四年生の皆さんとの集合写真。

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