2016年11月17日
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2016年11月17日パークボランティア活動報告!【屋久島地域】
屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
11月中旬になりましたが、昼間は24度ほどで朝晩も20度前後あり、まだ暖かい屋久島です。
そんなぽかぽか陽気の中、屋久島国立公園パークボランティアの会でヤクスギランドの看板清掃をしました。
ヤクスギランドの散策コース内には、植物説明看板やコース案内看板など大小様々な看板がいたるところに設置されています。
全コースの看板を綺麗にするため、3班に分かれて班ごとに担当するコースの看板を一つ一つ丁寧に磨いていきました。
▲大きな看板は2~3人で太刀打ち!コケが落ちた看板は真っ白で、森の中でもよく目立つようになりました。
▲小さな看板も抜かりなく!
▲作業後は3班揃ってお弁当♪美しい自然の中で食べるご飯は格別でした。
ヤクスギランドに行かれる方は、ぜひ看板にも注目してみてくださいね♪
2016年のパークボランティアの清掃活動は今回で終わりです。
今年は雨天等で中止になってしまう活動が多かったですが、最後は気持ちのいい天気の中で活動できたのでよかったです!
今年度の活動は来年3月の外来種駆除活動でラストです!
次回もよろしくお願いします。
みなさん、お疲れ様でした(^^)
▲最後にみんなでハイ、チーズ!
2016年11月17日西海国立公園平戸・九十九島地域子どもパークレンジャー
西海国立公園 佐世保 佐伯信吾
西海国立公園平戸・九十九島地域子どもパークレンジャー
「九十九島あそびたい」実施
10月14日(金)、環境省子どもパークレンジャー事業の一環として赤崎小学校3年生の児童を対象に、総合的な学習の時間を活用し長尾半島で自然で遊ぶ会(あそびたい)を実施しました。
長尾半島は、西海国立公園の表玄関、鹿子前集団施設地区の一角にある無人の半島です。また、赤崎小学校は、児童の縄張りにあります。地域の豊かな自然とそこに棲息する動植物と友達になり、自分達の遊び場が国立公園であることを認識して西海国立公園を故郷自慢にすることを目的として実施しました。
植物は、シャリンバイ、ツクシハギ、ネジキ、ホルトノキ、クスノキ、カノコユリ(佐世保市の花)等が自生する他、北九十九島を自然分布北限とする稀少なハマジンチョウやハカマカズラ、ハマオモト、ハマボウ、ハマゴウ等の当地の海岸植物があります。
観察会は、児童達にできるだけ考えさせるという手法で進められました。
集合場所の駐車場では、落ちているドングリを手に取り表面の小さな穴を見つけさせ、この仕業は昆虫のオトシブミ科のハイイロチョッキリだということを教えて中を見せると児童達は自分で幼虫を探すため歯で実を割り中身を確認していました。早速、この日環境省からプレゼントされたユポ紙のレベルブック(水に濡れても字が書ける特別なフィールドノートで長尾半島の地図や図鑑付き)にメモやドングリの絵を描いていました。
歩き始めるとヌルデの虫こぶ発見、虫こぶは何が変化したものかと児童に尋ねると「葉っぱ」と元気よく答えが返ってきました。虫こぶが出来る原因は、アブラムシの一種の仕業。虫こぶの粉と鉄錆を混ぜてお歯黒の原料にしていたことなどの話もしました。(お歯黒:平安時代貴族の間で男女共に歯を黒く染める風習で成人を意味するものであったらしいです。また、歯に塗布することで虫歯の予防等の効果もあったとのこと)
海岸では、絶滅危惧種のドロアワモチを発見。児童達は手のひらに置き、奇妙な生き物に関心をよせていました。ドロアワモチについて、殼は持っていないが貝の仲間、干潮の時に干潟に出てきて潮が満ちて来ると肺呼吸のため潮の来ない岩陰に潜む、干潟の表面を泥ごと食べて栄養分を吸収し他は排出する、だから移動の跡に見られる線状のものは糞、この生き物も絶滅が心配されていること等の説明にびっくりしました。
歩道法面に15センチ位の大きなヤマナメクジも登場。児童達に講師が天敵はと尋ねると「マイマイカブリ」と直ぐ児童の一人が答えたのには誰もが感心していました。手にとって体の表面を覆っている粘膜に触れさせると粘着力に驚き、接着剤のようだとビックリしていました。(ヤマナメクジ:カタツムリと同じく陸産貝類の一種。)このような体験をできることが、野外学習の最大メリット。シナリオに無い生き物達の出現に一喜一憂しました。
チガヤの葉を使って草笛も鳴らしました。各々が違う音色を出したりまた全く出せない児童は葉っぱを持ち替えたり取り替えたりと試行錯誤しながら手作りの楽器を楽しんでいました。
また、展望台から見える景色を通して佐世保の今の地形の成り立ちを講師が描く絵を見ながら確かめてもらいました。
終盤、半島内のネムノキをクラスの木として決めたもので、今後この木の幹周
りを定期的に計測したりすることで半島への愛着も更に深めてもらいたいです。
今回、児童達にふるさとの自然の大切さ等を学ぶまたとない機会を提供できたと思います。
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
今年島内の3つの小学校で合計11回の出前授業を実施し、小学生のみなさんに国立公園や世界遺産、屋久島の自然について学んでもらいました。
今回の日記は、今年実施した出前授業(野外)についての報告です!
教室授業の様子はコチラ↓(7月16日のアクティブレンジャー日記)
http://kyushu.env.go.jp/blog/2016/07/post-214.html
今年の野外授業は、田代海岸や栗生海岸、西部地域へ行きました。
どこも屋久島国立公園で、西部地域は世界自然遺産地域でもあります。
田代海岸では、自然に親しむゲームをしました。
流木やサンゴなど、海岸に落ちている自然のものを集めてまっすぐつなげて長さを競うゲームです。
▲ゲームの様子。長いものを集めた方が有利になるゲームですが、どんなゲームをするのかは秘密にして集めてもらったので、集まったものは大小様々。
貝殻や小さなサンゴを集めた班は短くなってしまい、まっすぐにつなげるのにも苦労していました(^^;)
集めたものは、ゲーム終了後に元の場所に戻してもらいました。
田代海岸には屋久島町の天然記念物になっている枕状溶岩があります。
この枕状溶岩は、はるか昔海底で噴出したもので、プレートにのって運ばれてきたと考えられています。
枕状溶岩の観察を通して、屋久島の地形や地質の面白さを学びました。
▲枕状溶岩の説明をメモする様子。
またレンジャーのお仕事体験として、海岸調査やゴミ拾い、看板清掃をしてもらいました。
▲看板清掃の様子。手の届かないところは肩車をして隅々まで磨いてくれました!
浜で貝殻を採集し、標本作りにも挑戦しました。
▲完成した貝の標本。色んな種類の貝があり、屋久島の海の豊かさを実感しました。
西部地域では、動植物を観察しました。
林内や林道にはたくさんのサルやシカがいて、じっくり観察することができました。
▲林内と林道にいたサルの群れ。バス車内からも観察できました。
また、落ちているサルとシカの糞を拾って沢で洗い、内容物を比べてみました。
サルの糞からは植物の種子がたくさん出てきて、シカの糞からは葉の繊維や少量の種子が出てきました。
「サルは木に登ることができるからシカよりたくさん実を食べられるんだ!」と、子ども達なりに糞の違いについて考えていました。また、植物は動物に実を食べてもらうことで種子を遠くまで運んでもらい、動物は植物から栄養をもらっていることにも気づきました。
▲糞の中身を観察する様子。
西部地域は、世界自然遺産になった理由の一つ、植生の垂直分布が残っている地域です。亜熱帯の海から冷温帯の山の上まで、植物が途切れることなく生えている様子を観察しました。
▲植生の垂直分布を観察する様子。
西部地域で起きているシカの問題についても学びました。
▲植生保護柵の中と外の違いは歴然!?柵の外には下層植生がありません。
これは、増えすぎたシカが植物を食べてしまっていることが原因です。
さらに、今年は出前授業を実施した1校から授業参観の講師に呼んでいただきました。
授業参観前の出前授業で栗生海岸へ行き、様々な生きものを見つけて海岸マップを作ったので、授業参観ではそのマップを使うことにしました。
テーマは「生きものどうしのつながり」です。
海岸マップの生きもの達が何を食べるか考え、エサになる生きものに糸を引いてもらいました。
▲生きものの絵にさしたピンに、糸を結んでつなげていきました。
▲完成した生きものどうしのつながり。海岸で見つけた生きもの達は、複雑につながり合っていることがよく分かりました。
最後は、地球上から生きものが一種いなくなったらと仮定し、生きもののピンを一つ外してみました。
すると、それをエサにしていた生きものにつながり、その生きものもいなくなって...と、ほとんど全ての生きものがつながり合っていて、ピンが抜けていなくなってしまいました。
▲ピンが抜けていく様子。生きものどうしのつながりを知り、たくさんの種類の生きものがいることの大事さやそれらの生きものが生きていける自然環境の大切さを学びました。
授業を通して、屋久島の自然について知り、豊かな自然を体感してもらえたと思います。
レンジャーの仕事体験から、自然を守る取り組みについても理解が深まったのではないでしょうか。授業の最後に「環境省の職員になるにはどうすればいいですか?」と聞く児童もいて嬉しかったです!
今後も島の子ども達に屋久島の自然を大切にしたいと思ってもらえるような授業をしていきたいと思います。