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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

野草堆肥にチューモク!! 【阿蘇地域】

2016年01月29日
阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

今回は阿蘇の草原と野菜のオイシイはなしを紹介したいと思います。

 

阿蘇地域にある直売所には観光客だけでなく地元の方も地域の野菜などを求めてたくさんの方が訪れています。野菜売り場では、阿蘇の野菜はおいしいかよね!甘みが強かもん!丸々太っとる!などとオイシイほめ言葉が飛びかっています。嬉しいですね♪

 

その「おいしさ」にはヒミツがあったことが、この度、判明したのです!

それが『野草堆肥(やそうたいひ)』の存在です。阿蘇地域で農業に携わる方はご存じと思いますが・・・野草堆肥は、阿蘇の草原の野草(ススキなど)を原料として作られた堆肥のことで、阿蘇地域の農家の多くは昔から野菜づくりに使っています。

 

農家の方に野草堆肥のことを聞いてみると「野草堆肥ば使うと土がフカフカする」「根の張りが違う」「ミミズが増えるとばい」「化学肥料はいらん」と教えてくれます。経験的に野草堆肥の"なにか"を感じているのです。そして、この"なにか"を科学的に裏付ける研究結果が最近発表されました!!

野草堆肥をつくっている様子

 

どんな結果かというと、野草堆肥に大量の善玉菌(拮抗菌(きっこうきん))が含まれていることが判明し、土の中で病気を抑えたり、作物にとって重要なカリウムや窒素などの成分を土中に保つ働きがあるといいます。菌は2種みつかっていて、そのうちの1種は新種の可能性もあるようです!

やっぱり、オイシイことにはヒミツがあったんだ!農家の方の自信にもなります。

野草堆肥で育ったアイコトマト

 

阿蘇の草原の重要な管理として「草刈り(採草)」があります。刈った草は家畜のエサや畜舎の敷床、野草堆肥、古くは茅葺き屋根や燃料にも使われてきました。また、草を刈り短くすることで野焼きを安全に行うことにも繋がります。いきものにとっても、地表まで太陽が届くことでたくさんの草花が咲き誇り、チョウも舞う草原になります。

しかし、時代とともに草を刈る量(使う量)は減り、今では草は刈らずに野焼きのみしか行わない草原もたくさんあり、貴重な植物も減ってきています。

 

そんな中で「善玉菌」のニュースは、野草堆肥の再評価につながり、野草の利用促進が期待されます!

野菜だけでなく、お花や果樹の栽培にもイイそうです。農家さんの畑にはもちろん、家庭菜園にも!

土づくり、野菜づくりに興味のある方はぜひのぞいてみて下さい。↓↓

【野草堆肥利用マニュアル】http://aso-sougen.com/pamphlet/index.html

 

私自身、野草堆肥を使っている農家さんと関わることが多いので、この研究結果がなんと元旦の新聞1面に掲載されていたことには嬉しい驚きでした!

野草堆肥が広がる1年になると良いなと感じています☆