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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2015年11月24日

2件の記事があります。

2015年11月24日小瀬田小学校出前授業最終回!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

今年度から新しくスタートした屋久島町立小瀬田小学校の出前授業が先日最終回を迎えました。

 

第1回目の授業の様子は下記バックナンバーをご覧ください↓↓

http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/10/post-101.html#header

 

第2回目は、「屋久島の今を知ろう」というテーマで、山岳部トイレのし尿搬出経費不足、ヤクシカの食害や不適切な利用等によるウミガメへの悪影響など、現在屋久島が抱えている問題を紹介しました。

 

そして今回は最終回の第3回目。

当初、パークレンジャー体験として、宮之浦岳登山の道中にある淀川避難小屋で、山岳部トイレの現状を見てもらい、山のトイレの維持管理の大変さを体験してもらう予定でした。

ところが、あいにくの雨(≧Д≦)!!

結局、屋久島世界遺産センター内での活動となりました。

 

児童に展示の解説をする様子

▲まずはセンターの展示物を見学。

 

展示の解説をメモする児童

▲展示物の解説をしっかりメモしていました。

 

最初に遺産センターの展示物を見学してもらい、次に現地で見てもらいたかった山岳部トイレの状況を、写真を使って説明しました。

屋久島の避難小屋付帯のトイレは全て汲み取り式で、し尿は人力で汲み取り担ぎ下ろしています。

し尿搬出経費は登山者からの募金(屋久島山岳部保全募金)でまかなわれていますが、現在募金の収受状況が悪く、山にし尿が残された状態が続いています。

(この授業の数日前に淀川小屋に行った際は、トイレ裏にし尿が入った70ℓバケツが8個ありました。)

 

淀川小屋のトイレ裏の状況を写真を使って説明する様子

▲淀川小屋のトイレ裏の状況を写真で説明。

 

次に、し尿搬出体験として、今回は、水が入った10ℓタンクを2つ担いで部屋を1周し、し尿搬出がどれほど大変かを体験してもらいました。

児童は小学5・6年生ですが、全員なんとか20ℓのタンクを担いで歩くことができました!

しかし、実際は20㎏以上になるタンクを山から担ぎ降ろしており、これは大人でも大変なことです。

児童のみなさんも、この過酷さを実感してくれたようでした。

 

タンクを担いで部屋を一周する児童

▲し尿搬出体験の様子。

 

山にし尿が残されている現状とし尿搬出の大変さが分かったところで、どうすればいいのでしょうか?

 

みんなができることの一つとして、携帯トイレを紹介しました。

携帯トイレを使えば、自分のし尿は自分で持ち帰ることになり、山にし尿を残さないため、し尿搬出経費を抑えることができます。

携帯トイレを使うことのメリットは他にもあります!

ゴールデンウィークやシルバーウィーク等の混雑期は、山岳部トイレに大渋滞が発生し、長い待ち時間を余儀なくされることがあります。

 

山岳部トイレに大行列ができている様子

▲今年のシルバーウィークの山岳部トイレの状況。奥に見えるトイレから長蛇の列が続いています。

 

しかし、携帯トイレを持っていれば、屋久島の山の各所にある携帯トイレブースで済ませることができます。

混雑期の山岳部トイレの大行列に比べると、待ち時間はほとんどありません。

また、急にお腹が痛くなった等、もしもの時にも安心です。

 

さらに、携帯トイレブースには悪臭がありません!

お尻も直接便座に触れない仕組みなので衛生的です。

 

携帯トイレブースの外観と中の写真

▲携帯トイレ木造ブース

 

使用済みの携帯トイレは、下山後、登山口など島内各所に設置している回収箱に入れるだけ。家に持ち帰る必要はありません。

 

携帯トイレは使ってみるまでは抵抗があるかもしれませんが、一度使えば良さも分かって頂けると思います。オススメですよ♪

 

児童のみなさんには、携帯トイレを使うことのメリットや使い方をレクチャーし、使用体験してもらいました。

 

便座に携帯トイレをセットする児童

▲携帯トイレを便座に広げる様子。

 

携帯トイレテントブースに入る児童

▲携帯トイレテントブースに入って扉を閉め、便座に座ってもらいました。

 

授業の最後には、児童一人ひとりから感想を発表してもらいました。

し尿搬出の大変さが分かったという児童や、今後山に登る時は携帯トイレを使いたいと言ってくれる児童もいて、屋久島の現状を知り、自然環境を守るために自分ができることを考える良い機会になったかなと思います。

担任の先生の話では、今後、授業の総まとめを行い、他に自分たちにできることを考え実践につなげていくとのことでした。

子供たちがどんなことを考え実践するのか、楽しみにしています(^^)

児童のみなさん、お疲れ様でした!

 

<屋久島での登山を計画されている方へ>

登山の際は、屋久島山岳部保全募金にご協力をよろしくお願いいたします。

また、し尿搬出経費を軽減するため、携帯トイレの利用にご協力をよろしくお願いいたします。

屋久島山岳部保全募金および携帯トイレの詳細はコチラ↓

 

鹿児島県HP

https://www.pref.kagoshima.jp/ad04/kurashi-kankyo/kankyo/yakushima/hozen/yakushimasangakubuhozenbokin.html

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2015年11月24日国立公園とジオパーク その2【阿蘇地域】

アクティブレンジャー 藤田

 昨年、阿蘇くじゅう国立公園指定80周年記念式典と阿蘇カルデラ国際シンポジウム2014を合同で開催し、シンポジウムでは「今後、国立公園とジオパークとの連携が必要!」と提唱されました。あれから1年、私たちも子どもたちへの学習面での連携を始めています。

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◆「草原環境学習で連携やってます!」

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 これまで草原に特化した環境学習を行ってきましたが、火山や地質などの専門分野が弱いことが課題でした。そこで、阿蘇ジオパーク推進協議会と連携し、阿蘇郡市内の小学校にて「火山と草原」をテーマとして体験学習の試行を数回行いました。

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 阿蘇市内の3校を対象に、事前学習として出前講座で学校に出向き、国立公園の紹介や草原、希少な動植物の紹介、ジオパーク・ジオサイト(※)の説明とその成り立ち等について、火山噴火やマグマの映像を交えながら学習しました。

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※ジオサイトとは、ジオパーク内の見どころのことで、自然遺産として認められるものです。ジオと歴史・文化との関係やジオと人々との暮らしと関係を体感できる場所も含まれています。阿蘇ジオパークには、33ヶ所のジオサイトが認定されています。(阿蘇ジオパークオフィシャルサイトHPより引用)
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 後日、体験学習として実際に校区内にあるジオサイトや草原に出向いて溶岩の流れ方や地質を観察し、一面に広がる草原風景と牛の放牧、そこに生息する動植物などを見て触れて体験しました。子どもたちからの疑問もたくさん出て、説明に熱が入って時間が押しちゃうことも・・・。

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溶岩洞窟について説明

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壁や天井には触らないように観察します

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 草原の維持管理について、原野組合員でもある保護者のお父さんにお話を伺うことができました。

「牛は飼われていないし野草を活用する機会もないのに、野焼きや輪地切りをやめたいと思ったことは?」との質問には、「おじいちゃんやお父さんたちもしてきたことだから。野焼きや草刈りをすることが当たり前と思っているし、これからも続けていきたい」とのお答えがありました。これは子どもたちにも響いたようで、"ぼくたちも大人になったら続けて行くんだ!"という意識が芽生えたように感じました。

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火山地帯にどうやって草が生えただろう?

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野草を使って何ができるかな?

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 両者が連携することで今までの学習に内容の広がりや深みが出ることを実感しています。いつも見ている風景がどうやってできたのか、火山・草原と農畜産業などの営みが、実は繋がっていることなど、子どもたちにも分かりやすく、新しい発見や想像力がかきたてられるようなワクワクする学習にしていきたいと思います。

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