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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2015年8月18日

2件の記事があります。

2015年08月18日人工島オオヒキガエル捕獲【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

こんにちは。石垣自然保護官事務所の仲本です。

 

前回、お知らせしていました第8回石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦が無事に終了し、8月16日(日)に表彰式を行いました。結果は、21日間の捕獲期間で2,950個体を捕獲することができました。捕獲してくれた皆様、本当にありがとうございました。また、夜遅くまでお疲れさまでした。

第8回石垣島オオヒキガエル捕獲大作戦捕獲結果

         

また、7月22日の夜間には、西表石垣国立公園パークボランティア活動として、石垣島の石垣港にある人工島(約70ha)で、オオヒキガエルの捕獲作業を実施しました。

この活動は、石垣島から他の八重山諸島へのオオヒキガエルの侵入を防ぐため、石垣港近くに生息しているオオヒキガエルを捕獲し、資材や荷物を乗せる船に紛れて、オオヒキガエルが他の八重山諸島へ侵入するリスクを少しでもなくしていこうと取り組んでいるボランティア活動です。定期的な捕獲を始めた最初の年は2012年でした。2012年の1年間は月2回のペースで人工島のオオヒキガエル1200個体を捕獲することができました。毎年定期的に捕獲したおかげで、年々捕獲数が減少し、現在では1個体のオオヒキガエルを見つけるのも困難な状況まで減少してきています。

テトラポットや石材が置いてある人工島の環境

   

捕獲は、パークボランティアや環境省業務委託の調査員、港湾工事事業者のみなさんにもご協力いただき、総勢25名で行いました。資材やコンクリートブロックの下など、人工島の平坦な広い砂地を探索していただきました。オオヒキガエルは、一度に数万個の卵を産むため、一度でも繁殖を見逃してしまうと、たちまち個体が増えて、オオヒキガエルだらけになってしまうため、そうさせないように、丹念に探していきます。

2時間近く探索しましたが、うれしいことに今回オオヒキガエルを発見・捕獲することはありませんでした。作業された工事事業者の方からは、オオヒキガエルを捕獲したかった(!?)と残念がるみんなの声も聞けて、意欲的に活動に参加してくださったみんなを見ることができ、うれしく思いました。

港湾工事事業者へオオヒキガエルについて説明

     

せっかく、ここまで人工島のオオヒキガエルの生息数を減らしている現状なので、これ以上、人工島でオオヒキガエルが繁殖して増えないように、これからも地道に巡視を続けて行きたいと思います。

 

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2015年08月18日阿蘇の草原とゾウ!!【阿蘇地域】

阿蘇くじゅう国立公園 アクティブレンジャー 田上

『阿蘇の草原』と言えば? 草千里ヶ浜・あか牛・キスミレ・ユウスゲ・野焼き・草原再生・・・などを連想されると思いますが、【ゾウ(象)】を思い浮かべた方はいらっしゃったでしょうか?

実は、草原とゾウに深い(?)繋がりがあるのです。

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そのことを知るきっかけは、地元・行政・関係機関・有識者等により構成される「阿蘇草原再生協議会」の構成員である、東海大学の先生からのお話しでした。熊本市動植物園のゾウは阿蘇の草原の野草を毎日食べているとのこと・・・私は、草原とゾウ!?えっ!と驚きでした。そこで実際に動植物園に真相を確かめに行ってきました。

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熊本市動植物園は熊本市内にあり、動物園・植物園・遊園地が1つの場所で楽しめる施設で、私も足を運んだことがあります。そこで生活するアフリカゾウのエサが、なんと!阿蘇の草原から採草した野草だったのです。少なくとも25年以上はエサとして使っているそうです!

 動植物園のアフリカゾウ マリーさん♪

そもそも、なぜ阿蘇の草原の野草をエサにしているのか!?ゾウ担当の方にお話しを聞いてみると、ゾウは、本来野生では硬い大型の草をたくさん食べているので、一般的に動物園で与えている品種改良された軟らかい牧草ではゾウの消化機能に合わず、あまり消化されないそうです。そのため、ゾウにとっては粗豪性のある阿蘇の野草がピッタリだったのです!

また、どのくらいの量食べているかというと、毎日1頭あたり乾草(採草した野草を干したもの)を60kg(緑のままの草の量換算では約200kg)も食べているとのことでした。定期的にブロック状の乾草が阿蘇から運ばれてくるそうです。

 

(写真左)ブロック状になったゾウのエサ

(写真右)エサに阿蘇の石(こぶし大の溶岩)が混ざっていることも・・ゾウが鼻で選り分けるらしい

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1年間で考えると1頭あたり約22tもの乾草を食べ、この量の草を確保するには約3ha分の草原が必要になるそうです。ちなみにゾウは2頭いました!!

左がエリ(メス)、右がマリー(メス)♪ どちらも鼻で器用に阿蘇の野草を食べている

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阿蘇の草原は主に「放牧」「採草(草刈り)」「野焼き」を代々続けてきたことにより維持され、中でも「採草」は草原性植物の多様性に大きな役割を果たしていることが知られています。放棄された草原や野焼きのみの草原よりも、採草利用している草原はよりたくさんの種類の植物が生育できるそうです。2頭で約6haもの草原をエサとして採草利用しているゾウの貢献度はとても大きいものです!

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ゾウ担当の方のお話しでは、他の動物園からはゾウのエサに国産の野草を使っているので羨ましがられるのですが、輸送の手法・コストがネックのようです。熊本市動植物園は阿蘇から近いという立地の良さが幸運でした。

また、お話しの中で、草原再生のPRに繋がるような案も出てきたので、これを機にいろいろと連携できたらおもしろいなと感じました♪

ちなみに、熊本市内の水道水は阿蘇山の伏流水100%なので、エサも飲み水も阿蘇産となると動植物園のアフリカゾウの体のほとんどは阿蘇の恵みで支えられているのです。ゾウをきっかけに阿蘇草原再生の輪が新たな広がりをみせるかも!?

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